2010年05月01日

上ノ原文殊堂(うえんはるもんじゅどう)

伊万里市二里町中里
上ノ原文殊堂(うえんはるもんじゅどう)


 去年の早春、息子の入試直前、ふるさとの上ノ原文殊堂に詣でました。
私の生れ故郷・伊万里市二里町の作(つく)井手(いで)は有田川に沿い、東に腰岳、西に長崎県境の国見連山を望む場所です。ここから東北に東山代町脇野に通じる古い山道もあり、道沿いに昭和の中頃まで上ノ原という小集落があったそうです。しかし今、この道をたどっても、下草が茂ったヒノキ林やチガヤに荒れた畑の中にはただ一宇の仏堂を残すだけで、家の跡さえ定かではありません。

 このお堂の内には、文殊菩薩・毘沙門天・阿弥陀如来の三体が祀ってあります。昔から文殊さん(モイッサン)毘沙門さんと両方の呼び名があったようです。堂の梁には、安政三年(一八五六)十月に毘沙門堂を再興したと記されています。
 仏像の制作年代はそれより古いことは間違いないようですが、正確にはわかりません。

 文殊菩薩は、知恵や学問の仏、毘沙門天は、悪魔を払う武神とされています。第二次大戦中には戦場に赴く若者がかなしい祈りを捧げたといいます。現在は、受験生が祈願に訪れ、境内のヤブツバキの実をお守りに持ち帰ったりします。また孫や子どものために百日詣でをする方もあります。 

それも一時のこと。季節が廻り堂前の桜の老樹がひっそり花を付ける頃にはまた、ほとんど訪れる人もなくなります。



Posted by 渋柿 at 15:24 | Comments(0)
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