2010年06月23日
生命・春美奈
万国親バカ連合代表のバカ親 σ(^◇^;>
命の終焉と誕生
娘・春美奈が昨年佐賀新聞読者文芸欄で一席と三席を頂いた詩です。

菊 春美奈
お墓に菊を供えて
水をかけた
少し離れた場所で
母親に連れられた少女が
同じように
花を供えていた
辺りには
参る人も
花も無く
雑草に荒れた墓も多く
こうして
人が生きていたという証は
遠くなってゆくのだと思った
「おかあさん」
高く澄んだ鈴の音のような
少女の声を風が運んだ
「ひとはしんだらどこへいくの」
その母親がなんと答えたのか
私には聞こえなかった
ひとはしんだらどこへいくの
どこへいくのですか
温かいところでしょうか
冷たいところでしょうか
魂のたどり着く場所などあるのでしょうか
大切な人が今
穏やかな場所で
休息を得ていると
信じてもいいでしょうか
菊の匂いが
かすかに漂っていました
ビー玉の中の記憶 春美奈
あたたかい ところでした
やわらかい 音でした
役割を待つ命の芽は
静かに芽吹くときを願い
ただ、そこにある
それだけで
幼い生は
涙が出るほど
豊かでした
ゆりかごのなか
ふりそそぐ
こもりうた
木漏れ日に似て
きらきら
ひかる
うしなったものは
ガラス細工の
うつくしい世界
せめて
この
ビー玉の中の記憶は失わないわ、と
そっと
両手で包むの、です
http://blog.livedoor.jp/tzxh9499/archives/1074951.html
命の終焉と誕生
娘・春美奈が昨年佐賀新聞読者文芸欄で一席と三席を頂いた詩です。
菊 春美奈
お墓に菊を供えて
水をかけた
少し離れた場所で
母親に連れられた少女が
同じように
花を供えていた
辺りには
参る人も
花も無く
雑草に荒れた墓も多く
こうして
人が生きていたという証は
遠くなってゆくのだと思った
「おかあさん」
高く澄んだ鈴の音のような
少女の声を風が運んだ
「ひとはしんだらどこへいくの」
その母親がなんと答えたのか
私には聞こえなかった
ひとはしんだらどこへいくの
どこへいくのですか
温かいところでしょうか
冷たいところでしょうか
魂のたどり着く場所などあるのでしょうか
大切な人が今
穏やかな場所で
休息を得ていると
信じてもいいでしょうか
菊の匂いが
かすかに漂っていました
ビー玉の中の記憶 春美奈
あたたかい ところでした
やわらかい 音でした
役割を待つ命の芽は
静かに芽吹くときを願い
ただ、そこにある
それだけで
幼い生は
涙が出るほど
豊かでした
ゆりかごのなか
ふりそそぐ
こもりうた
木漏れ日に似て
きらきら
ひかる
うしなったものは
ガラス細工の
うつくしい世界
せめて
この
ビー玉の中の記憶は失わないわ、と
そっと
両手で包むの、です
http://blog.livedoor.jp/tzxh9499/archives/1074951.html
Posted by 渋柿 at 14:28 | Comments(2)
2010年06月20日
そのまま二度と・・
満開の梅。出仕しようとして、彼はふと足を止めました。
「梅が、もう咲いたのか・・」
庭の梅は満開でした。
「すっと前から咲いておりますのに」
妻は笑って答えました。
彼は、そのまま二度と家に帰ってきませんでした。
息子は元服を控え、ささやかな幸せの中にあったはずでした。しかし納戸役として、ひたすら真面目に算盤と帳面に向かう日々、花の咲いたのにも気づかない明け暮れに
「自分はこれでいいのか・・」
と深いむなしさを覚え、彼は出奔してしまったのです。
作者も題名も忘れたのに、物語は強く心に残っているもののひとつです。
つい早春になると庭の梅を指し、つぼみから花びらの色が見えはじめた、一輪咲いた、二分咲きになった、メジロが来た・・と、夫に梅の咲いていく様子を刻々実況してしまいます(´ー`;>
「梅が、もう咲いたのか・・」
庭の梅は満開でした。
「すっと前から咲いておりますのに」
妻は笑って答えました。
彼は、そのまま二度と家に帰ってきませんでした。
息子は元服を控え、ささやかな幸せの中にあったはずでした。しかし納戸役として、ひたすら真面目に算盤と帳面に向かう日々、花の咲いたのにも気づかない明け暮れに
「自分はこれでいいのか・・」
と深いむなしさを覚え、彼は出奔してしまったのです。
作者も題名も忘れたのに、物語は強く心に残っているもののひとつです。
つい早春になると庭の梅を指し、つぼみから花びらの色が見えはじめた、一輪咲いた、二分咲きになった、メジロが来た・・と、夫に梅の咲いていく様子を刻々実況してしまいます(´ー`;>
Posted by 渋柿 at 20:22 | Comments(2)